バリ島沖海戦
[1942/2/20]



 
ジャワ島西方に位置するバリ島。
この島を攻略する為に輸送船2隻(『笹子丸』『相模丸』)によって、陸軍部隊が輸送、この護衛に第8駆逐隊(司令:阿部俊雄大佐)の駆逐艦4隻が護衛についた。

第8駆逐隊   『大潮』『朝潮』『荒潮』『満潮』

2/19にバリ島サヌール泊地に入泊、揚陸を開始した。しかし途中空襲により『相模丸』が大破した。
1600揚陸終了後、駆逐艦『荒潮』『満潮』が護衛につき、続いて2340揚陸作業を終了した『笹子丸』を護衛して『大潮』『朝潮』が出航しようとしたときに、連合国艦隊が攻撃を開始した。
連合国艦隊はABDA艦隊(司令長官:カレル・ドールマン少将)は軽巡3隻・駆逐艦7隻を2悌団に分け、出撃してきていた。

第1梯団   軽巡『デ・ロイテル』『ジャワ』
駆逐艦『ビートハイン』『フォード』『ポープ』
第2梯団 軽巡『トロンプ』
駆逐艦『スチューワート』『パロット』『エドワーズ』『ピルスベリー』

出航しようとした『朝潮』がまず軽巡『デ・ロイテル』『ジャワ』を6000mで発見、接近してきた敵艦隊は2000mで砲撃を開始したが、『朝潮』は出航直後で速力が上がらず、これを捕捉し切れなかった。一方、先に出航していた『大潮』は即座に反撃・砲撃を開始する。
『デ・ロイテル』『ジャワ』は交戦を避け反転、後続の駆逐艦『ピートハイン』が煙幕を展開しつつ反撃した。
『ビートハイン』は距離1000mから『朝潮』の雷撃を受け、沈没した。
『デ・ロイテル』『ジャワ』を追撃した『大潮』『朝潮』は続いて駆逐艦『フォード』『ポープ』を発見。これがABDA艦隊の第1悌団であった。
煙幕を展開しつつ離脱を図るABDA艦隊を追撃、0045 再度捕捉するも戦果はなくABDA艦隊は離脱した。

一方、護衛の為先に離脱していた『荒潮』『満潮』は0145に反転、バリ島に進撃を開始する。

サヌール泊地に戻った『大潮』『朝潮』は警戒を強める。
0310 再度軽巡2隻、駆逐艦1隻を発見した。接近し、3200mから攻撃を開始したが島影に隠れた為見失ってしまう。
これは第2悌団の一部、駆逐艦『スチュワート』『パロット』『エドワーズ』であった。
見失った艦隊を捜索中に軽巡『トロンプ』を発見、交戦した。命中弾多数を出すも、『大潮』も1発被弾した。
この交戦を確認していた『荒潮』『満潮』の前に島影から『スチュワート』『エドワーズ』が現れる。
反航戦となったこの2隻との交戦で『満潮』が機関部に被弾、航行不能の大破となったが『スチュワート』も損害を受けた。
その後残された『荒潮』は反航していく『トロンプ』を発見するも命中弾は得られなかった。
『満潮』は応急修理後『荒潮』に曳航されて帰還している。

この戦いはABDA艦隊の欠点を浮き彫りした海戦であった。
国籍の違う艦隊を、しかも2隊に分けて運用した為指揮系統が統一できず、結局少数の日本艦隊に苦戦を強いられることとなったのである。数の上で言えば圧倒的であったにも関わらずである。
しかし当時の連合国側にこの欠点を改善・修正していく余裕はなかった。